7軒ハシゴ酒!雨でも盛況『八王子花街日本酒めぐり』

3月29日、日本酒の飲み歩きイベント『八王子花街日本酒めぐり』が開催されました。当日の様子をレポートします。このイベントでは、専用のおちょこを購入。それを片手に参加店舗を巡って「ちょい呑み」セットを楽しむスタイルで、今回が2回目の開催となります。
雨でも関係なし!来場者が続々と集結
当日はあいにくの雨模様でしたが、桑都テラスでは予約済みのおちょこを引き換える人が次々と訪れ、日本酒好きにとっては雨など関係ない様子でした。

試飲コーナーは大行列
イベント開始の12:00には、試飲コーナーに長い列ができていました。

新潟県妙高市の酒蔵『君の井酒造』では『純米大吟醸恵信』の試飲が行われていました。地元産の酒造好適米「越神楽(こしかぐら)」を100%使用した純米大吟醸で、シャープな酸味とキレの良い味わいが印象的です。

茨城県筑西市の酒蔵『来福酒造』では『純米吟醸来福』が振る舞われていました。やや辛口でスッキリとした飲み口で、こちらもとてもおいしかったです。

八王子花街黒塀通り
イベントは「八王子花街黒塀通り」周辺のお店で実施されました。東京都八王子市中町にあるこの通りは、多摩地域で唯一の花街であり、黒塀が並ぶ風情ある街並みが広がります。

通りには、伝統的な髪結いを行う芸者御用達の八王子美髪店もあります。いよいよ日本酒巡りの始まりです。

『すゞ香』
桑都テラス近くにある料亭『すゞ香』では、都市型日本酒醸造所『東京八王子酒造』が併設されています。普段なかなか入れない場所とあって、大勢の人が行列を作っていました。この酒蔵は2023年6月に開業し、令和初・全国で10番目の新設酒蔵として注目を集めています。

入口も料亭らしい趣があり、期待が高まります。

会場は30分ごとの入れ替え制で、大広間の奥には舞台も設置されています。

ここでは芸者さんとのお座敷遊びも楽しめるそうで、いつか参加してみたいですね。

日本酒は東京八王子酒造の『すゞ香』。スッキリとしつつも深みのある味わいで、ついおかわりしたくなります。

ちょい呑みセットは、『前菜盛り合わせ(枝豆福草、蓮根の金平、小田原蒲鉾、カモ肉の燻製、京都の桜府)』と日本酒の組み合わせです。どの品も洗練された料亭の味で、最高の日本酒のお供です。

窓越しに東京八王子酒造の醸造所を見学できます。麹室も併設されており、ここで一通りの製造が行われているそうです。

『金沢の味福梅』
こちらは金沢料理をいただくことができる『金沢の味福梅』です。

店内はカウンターとテーブル席が並び、アットホームな雰囲気が漂います。

日本酒は『手取川』『黒帯悠々』『菊姫』『天狗舞』『加賀鷹』から選ぶスタイルで、今回は『菊姫』をいただきました。

ちょい呑みセットは、『真子の昆布煮』と日本酒の組み合わせです。

こちらは切る前の真子。普段見慣れているたらこや白子とは比べ物にならない大きさで、昆布の旨味がしっかり染み込み、日本酒との相性は抜群です。金沢ではお正月などの祝いごとによく食べられる一品だそうです。

『蔵人舞姫』
長野の酒蔵『舞姫』の直営店『蔵人舞姫』では、店頭にある杉玉が目印です。

店内にはカウンターとテーブル席があり、日本酒巡りの参加者で大賑わいでした。

提供される日本酒は『高尾の天狗』。専用サーバーから注がれるこの銘柄は、舞姫が製造する日本酒ブランドで、八王子産の酒造好適米を使用した地産の日本酒です。

ちょい呑みセットは『高尾の天狗』の酒粕を使用したチーズ豆腐と日本酒の組み合わせ。チーズと酒粕の香りが心地よく、クラッカーのサクサク感とぷるんとしたチーズ豆腐の食感が絶妙。こちらもつい杯が進んでしまいます。

『よこやま商店』
桑都テラスから徒歩数分の横山町にある『よこやま商店』。店頭から立ち上る焼き鳥の煙が食欲をそそります。

ちょい吞みセットは、『牛スジ煮込み』か『串焼き(もも・かわ・うずら)』のどちらかと、日本酒は『山本うきうき』『紀土春ノ薫風』『尾瀬の雪どけ桃色にごり』から選ぶスタイルです。

串焼きは炭火で焼かれ、香ばしい香りが店中に広がります。

今回選んだのは、秋田県・山本酒造店の『山本うきうき』。名前に惹かれて選びました。

目の前でお酒が注がれる瞬間は、何とも言えないワクワク感がありますね。

『串焼き(もも・かわ・うずら)』と日本酒の組み合わせは、間違いのない鉄板コンビ。春の雪解けを思わせる、薄いオリが絡む生酒は、串焼きとの相性も抜群で何杯でも楽しめそうです。

『天ぷらたかはし』
桑都テラス近くにある人気の天ぷら店『天ぷらたかはし』。なかなか入れないお店とあって、大行列ができていました。

ちょい吞みセットは、お酒は『黒龍』『鍋島』『作』『森嶋』『水尾淡風』『鳳凰美田』『夜明け前しずく』の7種から、天ぷらは『太刀魚』『鯵』『車海老』『佐土原ナス』『玉葱』『筍』の6種からそれぞれ選ぶスタイルとなります。どれも魅力的で目移りしましたが、今回は車海老の天ぷらと『作』をいただきました。『作』は伊勢志摩サミットの乾杯酒にも選ばれた有名な銘柄です。他にも、もずく酢や自家製和風ピクルスなどがセットに含まれます。

店内はカウンターとテーブル席があり、カウンター越しに目の前で天ぷらを揚げてくれる臨場感に、ワクワクが止まりません。

お待ちかねの天ぷらの登場です。天国に一番近い島と言われるニューカレドニアで獲れる車海老(天使のえび)を使用しているそうです。

揚げたてでふわっとサクサク。プリッとした海老の天ぷらは、まさにイメージ通りの味わいでした。『作』はフルーティーながらもキレのある味で、天ぷらとの相性も抜群。日本酒とのペアリングも完璧で、思わず笑みがこぼれるおいしさでした。

『酒肴麹 sora』
同じく桑都テラス近くにある『酒肴麹 sora』。店頭には杉玉が飾られ、風情を感じさせます。

店内はカウンターとテーブル席があり、他のお客さんもみなさん、ちょい吞みセットを楽しんでいました。

日本酒は秋田の限定酒『雪の茅舎美酒の設計』。冬の時期だけの特別な一本で、香り高くフルーティな味わいが特徴です。ご主人が秋田出身とのことで、秋田の料理やお酒を中心に提供しているそうです。

ちょい吞みセットは、秋田の郷土料理『だまこ汁』と雪の茅舎の組み合わせ。『だまこ汁』とは、ごはんをつぶして丸めた「だまこ」と、鶏、マイタケ、ごぼうの旨味が溶け込んだ温かい汁物。秋田では、きりたんぽよりもこちらが一般的だそう。出汁がしっかり染み込んだだまこが体に染みるおいしさで、日本酒との相性もバッチリです。

『酒場食堂だもんで』
桑都テラスから少し離れ、八王子駅の近くにある『酒場食堂だもんで』。「だもんで」とは静岡の方言で「だから」という意味。その名のとおり、静岡ゆかりの料理や地酒が味わえるお店です。

店内はカウンターとテーブル席があり、ここでもちょい吞みセットを楽しむ方が見られました。

お酒は『臥龍梅(がりゅうばい)』と『磯自慢』のどちらかから選べるスタイル。今回は『臥龍梅』をいただきました。

ちょい吞みセットは、1名の場合は『静岡おでん』と日本酒のセット。2名の場合は『静岡おでん』に加えて、『桜エビ・しらす』のセットになります。『静岡おでん』は、牛すじ・たまご・大根、そして主役の黒はんぺんが入ります。しっかり味が染み込み、穏やかな香りと柔らかな口当たりの『臥龍梅』との相性もピッタリ。

静岡名産の桜エビとしらすも日本酒によく合い、思わずおかわりしたくなってしまいました。

15:00からは芸者さんとの撮影会も実施
そして15:00からは、桑都テラスにて芸者さんとの撮影会が実施されました。八王子芸妓衆は明治40年から100年以上続く伝統ある存在で、八王子花街の華とも言えます。

芸者さんと一緒に写真を撮れる貴重な機会とあって、多くの人が撮影を楽しんでいました。

撮影会の後には、日本酒の試飲ブースで芸者さんたちがふるまってくださる場面も。おいしい日本酒と料理、そして芸者さんとの交流まで楽しめる、まさに日本酒好きにはたまらないイベントでした。


日本酒好きの私にとってはまさに夢のようなイベントでした。気になっていたけれどなかなか入れなかったお店にも立ち寄ることができ、気づけば7軒も巡っていました。次回の開催が今から楽しみです。
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