陣馬山の宇宙【八王子フォトジェニック】
第1回目の「 八王子フォトジェニック 」。
「 フォトジェニック( photogénique )」とはフランス語で「 写真映えする 」という意味で、風景写真で「 フォトジェニックなロケーションだね 」とかポートレイトで「 彼女はフォトジェニックだね 」と言った感じで使われます。
今回は「 八王子はフォトジェニック 」と題していますが、フォトジェニックとはほど遠い場所でも魅力的な写真は撮れる! という内容でお贈りします。
今回掲載の写真は私の参加した写真展や各種メディアを初め、カメラのキタムラさんの冊子でも紹介されたことがあるので、中にはご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、八王子ジャーニーでは違った角度でご紹介します。
写真1:陣馬山の宇宙
この写真は 2014 年1月 22 日、この年はじめて八王子に雪が降った日に撮影したものです。
2012 年に私が八王子に引っ越してきて初めての雪でもありまして、雪が降っていると気づいた瞬間に、カメラとストロボ( フラッシュ )を掴むと車に飛び乗り、家の前を走る陣馬街道を陣馬山は和田峠に向けて走らせました。
後ほど紹介する場所で深夜0時過ぎ、ストロボ( フラッシュ )を付けたカメラ( 三脚は使っていません )を構えて、1時間ほど同じ樹木を撮り続けていたら、カメラの神様が突風を吹かせてくれて、枝の上に積もりつつあった粉雪を吹き上げてくれました。
その瞬間に撮れたのがこの写真です。
降る雪が星に、吹き上がった粉雪が星雲に見えたので、『 陣馬山の宇宙 』というタイトルを付けました。
この写真、特別なカメラで撮ったものでもなければ、特殊なテクニックが必要なわけでもありません。
カメラとストロボ( カメラ内蔵のフラッシュでも OK )があれば、そして根気がありさえすれば、誰でも撮れるかもしれない写真なのです。
誰も気にとめない場所で撮影
写真1を撮影した場所は陣馬街道の和田峠近くで、下の Google ストリートビューの辺り。
ご覧いただくとわかる通り、写真の被写体としてめぼしいものは何一つありません。
プロの写真家であってもほとんどの人がここで撮ろうとは思わないような場所です。
「 じゃぁお前はどうしてココで撮ろうと思ったんだ 」と言われそうですが、私は元来天の邪鬼なのと、名勝や景勝地などの絶景ポイントで撮るよりも、普通では誰も見向きもしないような場所で魅力的な写真を撮りたいと常々考えているからです。
写真1の樹木を雪が降っていない状態で夜に撮るとこんな感じです。
とてもフォトジェニックとは言えない被写体です。
それでもアングルを変えたり構図を変えたりしながらフォトジェニックなポイントを探すことは重要です。
これこそが魅力的な写真を撮るためにもっとも重要なことで、難しい技術の習得や高価な機材を使うことではないのです。
みなさんも気になった被写体にじっくり向きあって、魅力がどこにあるのかを探してみましょう。
これからも八王子の写真を紹介
今回はここまで。
次回以降も私が八王子のフォトジェニックな場所で撮った写真をお目にかけながら、撮影のコツをご紹介できればと思っています。
八王子に住んでまだ9年ですので、できましたらロケ地を教えてくださると嬉しいです。
そのうちにロケ地情報募集や、読者の皆さん八王子で撮った写真の紹介なども考えています。
おたのしみに!
WRITER 投稿者
■ 薮田 織也( Oliya T. Yabuta )人物・光景写真家 ■ 1961 年生まれ。テレビ番組制作会社、コンピュータ周辺機器メーカーの製品企画と広告制作担当を経て、1995 年独立、人物写真家に。近著に「 美しいポートレートを撮るためのポージングの教科書 」( MdN 刊 )、監修書籍に「 ちょっとしたコツで10倍かわいく見える モテ[写]の教科書。」(MdN 刊)がある。公益社団法人 日本広告写真家協会 正会員