素材がお皿の上で輝きを放つ。みなみ野のフレンチレストラン『レジェ(leger)』

自家菜園で採れた新鮮な野菜をたっぷり使ったフランス料理のお店がみなみ野にあると聞いて、食通の友人を誘って出かけてみました。おいしいもの食べたい時は、つい知っている都心のお店に行ってしまいがちだけれど、近くにこんな素敵なフレンチのお店があったなんて！ 気軽に行けるフレンチコースのお店をみなさんにご紹介します。

テラス席のあるレストラン

八王子みなみ野駅東口方面へ。左手奥のエレベータで1Fに降り、線路を左に見ながら道なりに右にカーブして進みます。桜並木が続く兵衛川の信号を渡ったところが、目的のお店のフレンチレストラン『レジェ』です。シェフの平野さんは、フランスから戻ってお店を開くにあたり、静かな環境でテラス席のあるお店を作りたいと、この場所を選んだそうです。

テラス席からは、兵衛川に沿って植えられた桜並木を正面に見ながら食事ができます。桜の季節にはテラスで花見をしながら、緑の季節には行き交う人や犬の散歩を見ながら料理を味わえます。気候のよい時期にはテラス席の仕切りを開けて、室内でも心地よい風を感じながら、コース料理を堪能することができます。

店先には、ランチメニュー3,630円(税込)～、ディナーメニュー8,630円(税込)～と、目安となるメニューや価格が案内されています。お店に入る前に、こういった貼り出しがあると安心ですよね。格式張らずにお客様のことを考えたお店であることがよくわかります。

居心地の良い空間

室内は席数20席で、オフ白の壁にダークブラウンの床、ブルーグリーンの天井の落ち着いた雰囲気です。今は、店の上のマンションが工事中でテラス席はしばらく利用できませんが、テラス席は8席の用意があります。人気のテラス席では、席を外して大勢でパーティを予約する人もいるんだとか。

やさしい笑顔と「いらっしゃいませ」の明るい声に迎えられ案内されると、テーブルには美しいガラスのサービスプレートが待っています。このガラスの皿もシェフがわざわざフランスから運んで来たそうです。

アミューズ：パテ・ド・カンパーニュ

人気の『メニューレジェ』8,360円(税込)をいただくことに(昼夜とも注文可)。コースの始まり、アミューズは鶏と豚肉の『パテ・ド・カンパーニュ』。シャンパンにもワインにもよく合って食欲が刺激されます。コースメニューには、季節のサイドメニューをつけることもできます。今の時期なら『生牡蠣』『ホワイトアスパラ』、もう少しすると『モンサンミッシェルのムール貝』と楽しみは尽きません。

オードブル：北海道産 磯ツブ貝のマリネとキャビアのタルト仕立て 自家菜園のサラダ添え

なんて愛らしい宝石のようなタルトでしょう！ エディブルフラワー(食べられる花)も自家菜園のもので、ベビーリーフはビーツの赤いソースをまとい、中東のスマックという赤紫蘇のようなハーブで味付け。右横には森のアスパラと呼ばれる “アスペルジュソバージュ” が、皿の上に表情を与えています。

スープ：グリンピースのクリームスープ

やさしくコクのあるスープは、スプーンで下から混ぜるようにしていただきます。豆乳を泡だてた白い泡の中からやさしい緑色が現れ、器の中は “白から→緑と白のマーブル柄” に変化します(スープの周りの豆は飾りで食べられません)。

魚料理：相模湾 太刀魚のムニエル

鮮度のよい太刀魚はシェフが自ら釣り上げたもの。上に乗っているのは、サリコーンといってブルターニュではよく使われる野菜だそうです。一見スギナの茎のような細いこの野菜は、香ばしく焼き上げた太刀魚の柔らかい身に、歯ざわりをプラスさせ口の中を楽しくさせてくれます。

肉料理：牛フィレ肉の低温調理 赤ワインソース

フィレ肉のなんと柔らかいこと！ 赤ワインソースとわずかに乗った塩が旨さをさらに引き立てます。抜群な火入れ具合のシャキシャキ野菜たちとマッシュポテトが添えられ、絵のように美しい料理に魅了されます。

デザート

ミントの乗ったフルーツのグラスの縁には天を突くように細い飴細工が施され、最後まで素敵な演出で楽しませてくれます(写真でわかるといいのですが…)。パイナップルのコンフィの下には、お米のプディング “リオレ” が隠れています。爽やかなソルベもパンナコッタも、一口ごとに幸せを運んでくれますよ。

キャラメルムース / リオレとパイナップルのコンフィ / 伊豆特産ニューサマーオレンジのソルベ

フランスを感じさせる演出

壁には床と同じダークブラウンの木材が埋め込まれ、シェフがフランスから持ち帰った絵や小物たちがお店のそこここに飾られています。

右上の帽子は、雪よけとしてシェフが実際にフランスで被っていたものだそうです。

店先の左右にはフランスで作ってもらった、“通り表記” のプレートが飾られています。店前の通りは “レジェ通り” と命名！こんなオシャレな遊びのできるシェフ、素敵だと思いませんか？

駐車場

店の裏手に2台分の専用駐車場があり、みなみ野循環器病院の先にコインパーキングもあります。

一見、寡黙そうな平野シェフですが、なかなかのお茶目さん。忙しい時のお声がけは難しいでしょうけれど、チャンスがあればフランスでのエピソードや山スキーの話、釣りの話が聞けるかも。こんなに素敵なセンスある料理を次々出せるなんて、どんなものを見聞きしてきたのか、もっともっとお話を伺いたくなります。

目にも、舌にも、心にもウレシイ、絵画のような一皿一皿を味わってみませんか？