「リングで死んでもいい」佐々木尽の覚悟。八王子から世界へ挑む、命を懸けた一戦【はちんちゅ vol.2】

八王子をルーツに活躍する人に迫る新企画『はちんちゅ(八王子人)』。第2回目のゲストは、来る2025年6月19日、ウェルター級の世界王座に挑戦するプロボクサー・佐々木尽選手。八王子ジャーニーは、決戦を控えた佐々木選手に独占インタビューを敢行。地元八王子への愛、ボクシングとの出会い、そして世界戦への並々ならぬ覚悟を語っていただきました。
佐々木尽
八王子生まれ八王子育ち。所属は八王子中屋ボクシングジム。
もともとは柔道をしていて中学では東京都2位にもなった有段者。ボクシングは中学1年生から掛け持ちしていたが「世界チャンピオンになる」と決意し高校入学前にボクシング一本に絞り、4年制の定時制昼間部に進学。アマチュア時代の戦績は1勝3敗と決して華々しいものではなかったが、プロ転向後は驚異的なKO劇を連発。WBOアジアパシフィック王者・OPBF東洋太平洋王者の二冠という快挙を成し遂げる。WBO世界ウエルター級2位。
勝てば日本人初!注目の大一番
2025年6月19日(木)、大田区総合体育館で開催される『NTTドコモ presents Lemino BOXING WBO世界ウェルター級タイトルマッチ』で、八王子中屋ボクシングジム所属の佐々木尽選手が、現王者ブライアン・ノーマン・ジュニア選手(アメリカ)に挑みます。

佐々木選手はWBOアジアパシフィックおよびOPBF東洋太平洋の元王者(世界タイトルマッチ挑戦のため返上)で、現在WBO世界ランキング2位。勝利すれば、日本人初のウェルター級世界王者誕生となります。日本人選手の同級挑戦は16年ぶり、国内開催は36年ぶりと歴史的意義のある一戦。欧米で特に人気の高い中量級での挑戦に、国内外の注目が集まっています。

「八王子から世界へ」を掲げる佐々木選手の挑戦が、日本ボクシング界の新たな未来を切り開くことを期待したいです。

「超楽しみ」世界戦へのコンディションと揺るぎない自信
――世界戦を目前に控えて、現在のコンディションはいかがですか?
今までは、世界を目指すまでに「ここは勝たないとダメ」という試合が多く、勝って驚かれることはあまりなかったんです。でも今回は自分より圧倒的に強い相手。実力も評判も上なので、勝ったら驚かれるじゃないですか。そういう位置にいられるのがすごく楽しみで、ワクワクしています。
――その言葉からは、すごい反骨精神というか、強い気持ちが感じられますね。
はい、今までで一番やる気がありますよ、本当に。

オフの日の過ごし方と八王子のお気に入り
――試合のないオフの日はどのように過ごされていますか?
何もしない日もあるし、疲れすぎて家でずっと休んでる日もあります。でもけっこう家族といることが多いですね。ショッピングに行ったり、ご飯を食べに行ったり、妹と一緒にライブに行ったりとか。特に日曜日は有意義に使おうと努力しています。心をちょっとでも休めないと、もったいないなって思っちゃうんで。
――八王子でお気に入りのお店などはありますか?
家族といることが多いと言いましたが、1人でいるのもすごい好きなんです。好きなお店が『黒塀カフェ』。あそこのハヤシライス、超おいしいんですよ!この前、試合が終わって、よさそうなカフェがあるなと思って入ってみました。ハヤシライスがおすすめってことで食べてみたら、一口目で「うまっ!」。お店の人もすごいいい人です。最近カフェ巡りにもハマっていて、カフェって落ち着きますよね。

元祖ハヤシライスがイチオシ!大正ロマン漂うエモい喫茶店『黒塀カフェ』
公開日: 2023.08.01
日本橋・丸善の元祖ハヤシライスが八王子で食べられる!『黒塀カフェ』は大正ロマン漂う大人な雰囲気でありつつ、こじんまりとしたホッとするお店でした。 イチオシの黒塀ハヤシライスに、八王子ナポリタンを実食レポします♪…
――それはぜひ行ってみたいですね!
あと、夜の空気感も好きですね、八王子の。実家は別所の方だったんで、こっち(八王子市街地)の夜ってあんまり見たことなくて。コンビニに水買いに行こうと思って24:30とか25:00ぐらいに外歩いたら、いつもの感じとちょっと違う雰囲気。新鮮でした。

ボクシングとの出会い、原点は柔道と反骨精神
――ボクシングを始める前は柔道をされていたと伺いました。
そうですね、柔道をやっていました。礼儀作法を学ぶのもいいし、人として強くなってほしいという思いで、両親が柔道を勧めてくれました。
――ボクシングへの転向のきっかけは何だったのでしょうか。
柔道をやっている頃から、けっこう気持ちが前に出るタイプでしたね。襟を掴むのにバシンって行ってしまったり、夢中になると顔に行っちゃったり…反則負けすることも。そういう本能的な部分を見て、親から「ボクシングの方が向いてるんじゃないか」と言われたのがきっかけです。
――その血気盛んな性格が、ボクシングへの道を開いたんですね。
はい、そうですね。

――柔道と並行されていた時期もあったそうですが、ボクシング一本に絞った理由は何だったのでしょうか。
まずボクシングがかっこいいなと思ったのと、何より好きでした。柔道よりボクシングが自分に向いていると思いました。今後を考えた時に、ボクシングなら世界チャンピオンがある。可能性を感じたんです。トップを目指さないといけない中で、ボクシングだなって。それに、掴むより打撃の方が好きだったんですよね。
――柔道で培われた経験は、今のボクシングにも活きていますか?
めっちゃあります。まず柔道の頃の先生が熱血系で厳しく、気持ちの面を鍛えられました。礼儀も学んだし、体幹の強さはボクシングでも活きています。相手にパンチが当たった時のブレなさは、柔道のおかげだと感じています。

世界戦への覚悟「人生かけてる」
――ボクシング一本に絞るため、定時制高校に進学されたというお話も伺いました。その覚悟は相当なものと感じました。
世界チャンピオン。それしかないって思っていました。学校を卒業して、サラリーマンになって普通に生きていくのは自分じゃ無理だなと。勉強も学力最下位とかだったんで(笑)
その分運動系は得意でした。サラリーマンで行くのは無理だなって小さい頃から思ってましたね。あと家庭環境もちょっと変わっていて、勉強しなくていいからスポーツやれ、宿題やらなくていいからトレーニングやれ、みたいな。だからそれしかないって思ったんです、道が。
――アマチュア時代は1勝3敗と苦しい時期も経験されたそうですね。
マジでもう悔しすぎて。自分は人生これでいくって決めたのに、アマチュアの試合で負けちゃって。電車から飛び降りてやろうかとか本気で思うぐらい人生の先が見えなくなりました。でも、謎に自信はあったんです。殴り合いという競技では負けてる感じがしなくて。喧嘩だと思ってたんですよ、ボクシングのことを。
――その悔しさが今の強さに繋がっているんですね。
アマチュア時代の悔しさがめちゃくちゃありますね。それが変えてくれたのかもしれない。

――ボクシング以外のことに興味はありますか?
全くないですね。もう見えないです、ボクシング以外は今。時間がないし、ひたすらボクシングですよ。トレーニング、休養、トレーニング、休養の繰り返し。遊ぶ楽しさとかより、今この世界チャンピオンを目指している過程、人生全てかけてる過程が刺激的すぎて、それを上回るものはないなって思っちゃうんですよ。
――まさに世界戦に向けて全てを捧げているんですね。
本当に人生かけてます、今。全てをかけて勝ち取りたいんで。これで取れなかったらやばいんですよ、自分の人生のこの先が。だからもう本当にこれを取るために生きてる。取れなかったらリング上で死んでもいいぐらいの気持ちです。

対戦相手ノーマン・ジュニア選手について
――ノーマン・ジュニア選手はどのような選手でしょうか。
もう全部素晴らしい。劣ってるものはない感じで、バランスが良い選手。パワーもスピードもすごいあるんですけど、全部平均的に良い。でも攻撃だったらノーマンに勝ってるんですよ。スピードも若干自分の方があると思うし、特に一瞬の速さ。そういうところで勝てるなって思います。もちろんボクシング自体のうまさはノーマンの方が全然あると思いますけど。あとメンタルの強さは確実にもう勝ってる。
――全然付け入る隙はあると。
そうですね、はい。

「八王子から世界へ」スローガンへの思いとファンへのメッセージ
――「八王子から世界へ」というスローガンがありますが、プレッシャーなどは感じますか?
いや、プレッシャーはないです。八王子の人が今回かなり応援してくださっていて励みになっています。昨日も市役所に行ったんですけど、皆さんが拍手してくれたりとか。そういうのは見ててすごい嬉しいなって思ったし、力になりました。だから勝って、八王子の英雄になろうと。八王子にそういうチャンピオンという肩書きを持ってきて、皆さんを喜ばしてあげたいなっていうのはあります。

――最後に、八王子の子どもたち、そして八王子ジャーニー読者へメッセージをお願いします。
自分のやりたいことを、恥ずかしがらずに言葉にして、挑戦してみてほしいなって思います。周りから反対されることもあると思うけど、自分がやってみたいことは失敗してもいいんで、一度挑戦してみればいいんじゃないかな。
自分のことをまだ知らない方がたくさんいると思うので、ぜひこの佐々木尽という名前を覚えてほしいです。八王子から初の世界チャンピオンを目指して、6月19日は人生かけて世界を取りに行くんで、応援していただけたら嬉しいです。よかったら会場にも来てください。あとLeminoでも配信があるので、どうしても来れないって方はぜひ見ていただけたら嬉しいですね。
――佐々木選手の出番は19日の19時頃の予定とのことですので、皆さんぜひ応援しましょう!本日はありがとうございました。
仕事終わり、学校終わりに会場へぜひ来てください!ありがとうございました。

会場に行けない方はNTTドコモ映像配信プラットフォームLeminoからもご覧いただけます!自宅から佐々木選手に熱い声援を送ろう!!
試合概要
- 試合名
- NTTドコモ presents Lemino BOXING WBO世界ウェルター級タイトルマッチ
- 開催日
- 2025年6月19日(木)
- 会場
- 大田区総合体育館(東京都大田区東蒲田1-11-1)
- 対戦カード
- 佐々木尽(日本/八王子中屋ボクシングジム所属) vs ブライアン・ノーマン・ジュニア(アメリカ/現WBOウェルター級王者)
- 主催
- 大橋ボクシングジム / NTTドコモ

佐々木尽選手の言葉からは、地元八王子への強い思いや、世界戦に懸ける覚悟がひしひしと伝わってきました。「人生を懸けている」という言葉がズシリときました。まさに魂のインタビュー。全力で応援したいと思います!
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