SNSが導いた花街への道。八王子の若き芸者・陽月さんが語る、修業の日々と未来

SNSが導いた花街への道。八王子の若き芸者・陽月さんが語る、修業の日々と未来

東京に残る数少ない花街の1つ、八王子。高校卒業後、その伝統ある世界に飛び込んだ一人の若き芸者が陽月(ひづき)さんです。彼女がこの道を選んだのは、意外にもSNSがきっかけでした。厳しい修業の日々、そしてこれからの夢。現代を生きる若き芸者さんの素顔に迫ります。

きっかけはSNS。憧れの世界へ

――本日はよろしくお願いいたします。まず、陽月さんが芸者の道に進まれたきっかけを教えてください。

よろしくお願いします。きっかけはSNSやYouTubeで芸者さんの動画を見たことでした。もともと歴史や日本の文化が好きで、高校時代は部活動で華道を嗜んでいたんです。ただ、お花以外の芸事は全くの未経験でした。

着物を着ることに憧れがあったのですが、動画を見て「こんな世界があるんだ」と知りました。最初は京都のイメージが強かったのですが、調べていくうちに八王子にも花街があることを知り、「やってみたい」という気持ちが強くなったんです。

八王子芸者

――SNSがきっかけだったのですね。八王子を選ばれたのには、何か理由があったのでしょうか?

実は一度、高校卒業後に京都で挑戦したんです。でも、ホームシックなどもあって2週間ほどで地元の静岡に帰ってしまいました。一度は別の仕事も考えたのですが、やはり憧れた世界を諦めきれなくて。改めて調べたときに、以前から知っていた八王子の置屋にご縁があり、高校卒業後の6月からこちらでお世話になっています。

――厳しい伝統の世界へ…ご家族やご友人の反応はいかがでしたか?

母は最初、少し戸惑っていました。ですが、高校を卒業したら好きなことをしていいと言ってくれていたので、最終的には応援してくれました。父は特に反対もなかったです。友人は「かっこいいじゃん!」と言ってくれて。両親、友人に恵まれたなと感じています。

八王子芸者

厳しい修業とオフの日の過ごし方

――芸者さんの修業は厳しいイメージがあります。どのようなお稽古をされているのですか?

今は踊り、歌、お囃子のお稽古をしています。週に3日ほど、日によって違う種類のお稽古があり、それ以外はお座敷に出たり、自由な時間に自主練をしたりしています。踊りのお稽古は特に好きですね。

――お休みの日はどのように過ごされていますか?

お稽古で精一杯なので、休日はゆっくり体を休めています。しっかり睡眠をとって、余裕がある時は駅の周りをぶらぶらしたり。慣れてきたら八王子の街をもっと散策したいです。

八王子芸者

同世代にも伝えたい、伝統文化の魅力

――これから挑戦してみたい芸事はありますか?

やはり三味線は弾けるようになりたいです。お稽古はまだこれからですが、いつかはお座敷で披露できるようになるのが目標です。

――最近は海外からのお客様も増えているかと思いますが、国際的な交流について思うことはありますか?

そうですね、海外からのお客様とお会いする機会も増えてきました。日本の文化に興味を持っていただけるのは、とても嬉しいです。ただ、私自身は英語が苦手で…(苦笑)

日本の「和」のものが好きだという気持ちを大切にしながらも、もっと八王子の、そして日本の文化の魅力を自分の言葉で直接伝えられるように、英語の勉強にもチャレンジしていきたいと思っています。

八王子芸者

――最後に、陽月さんのように伝統文化の世界に興味を持つ同世代の方へメッセージをお願いします。

私も最初は芸者さんが職業としてあることすら知りませんでした。でも、少しでも「好きだな」「やってみたいな」という気持ちがあるなら、ぜひチャレンジしてみてほしいです。

知らない世界に飛び込むのは勇気がいるかもしれませんが、きっと新しい自分に出会えると思います。私も、お客様にも周りの方々にも認めていただけるような立派な芸者になれるよう、これからも精一杯お稽古に励んでいきたいです。

八王子芸者
八王子ジャーニー編集部

高校卒業という若さで伝統の世界に身を投じるには、相当な覚悟と勇気が必要だと感じました。柔らかな笑顔の奥には、燃えるような情熱が確かに宿っている――そんな印象を受けました。これからの成長と活躍を心から期待しています。

WRITER

八王子ジャーニー編集部

八王子ジャーニー編集部

記事一覧

八王子ジャーニー編集部です!ライター・スタッフ募集中!