『たま未来連携EXPO 2024』取材レポ!多摩地域の産官学民連携が生む革新と未来

『たま未来連携EXPO 2024』取材レポ!多摩地域の産官学民連携が生む革新と未来

テーマは「産官学民連携」。多摩地域の未来を創る『たま未来連携EXPO 2024』が、2024年12月19日・20日に東京たま未来メッセで開催されました。27の学術機関、企業、政府機関が集結し、最新の研究成果や技術革新を披露。技術とアイデアが交わるこの場で、新たな可能性が生まれています。

産官学民連携の熱量を感じる2日間

東京ビッグサイト級の充実した展示内容、そして多摩地域ならではのつながりを実感できる2日間ということで、その熱気をレポートしていきます!ちなみに、私は12月20日におうかがいしました。

たま未来連携エキスポ 2024 取材レポ

多摩地域の企業(産)、地方公共団体(官)、大学(学)、地域・NPO(民)が出展されているということで、どんな出会いやビジネスチャンスがあるのかワクワクしますね!

会場に入ると、それぞれ分かれてブースを連ねていました。企業ブースには7社。

学術機関ブースには13校。さすが学園都市八王子…!賑わっていますね。

地方自治体・公共団体等ブースには7団体が参加していました。

出展者リストは公式Instagramにて。

ヘルスセンシング株式会社のすんごい技術

全部気になるところですが、今回は3つの出展者をピックアップ!出展された経緯や目的、今後の展望などを出展者にお聞きしていきたいと思います。

まず初めに向かったのは、八王子市七国に本社を構える『ヘルスセンシング株式会社』
多摩イノベーションエコシステム促進事業 紹介記事

この「心神」「睡神」のパワーワードに惹かれてお声がけしちゃいました。ですが、なんでしょうこの薄いシートみたいなものは…?

実はコレ、1ミリと極薄なのに、心拍呼吸体動などで心理ストレスや睡眠測定ができるスグレモノ!『心神ラムダ』は心理ストレスを、『睡神デルタ』は睡眠を計測・分析してくれるんです。

ストレス状態の計測がすぐできるということで、『心神ラムダ』で測定してもらいました。心拍や呼吸からストレス状態を解析してくれるということですが、座った状態で心臓の動きや自律神経の状態も測れるなんて驚きです…!心臓の動きを振動として捉えることでより精度の高い測定が可能になるのだとか。

天秤のところに0.30と指標の数字がありますね。自律神経の状態が0から1の間で動くということですが、1に近づくとリラックス状態、0に近いと交感神経が優位になって緊張状態を指しているんだそうです。

さて、私の結果は…0.26でストレス状態!
取材中で交感神経優位だからですね、当たってる!笑

薄くてまったく違和感が無いのも素晴らしい!そしてこの解析方法は独自のアルゴリズムを使っていて、医療機器とほぼ同じレベルの精度で測れる(スマートウォッチより精度高い)のだそう。信号処理の手法はイギリスの科学雑誌『Nature』にも論文として掲載されていて、世界的にも認められた技術なのだとか!

現在、この技術は大学病院や医療機関で、無呼吸症の診断や認知症の患者さんの行動分析などに利用されています。最近では乳幼児の睡眠測定にも使われていて、赤ちゃんの睡眠データを分析することで、発達リスクの兆候を見つけることができるのだそう!

八王子ジャーニー編集部

出展された理由として、この基礎技術をどう商品化するかが課題で、多くの企業と連携して新しい商品を開発し、様々な業界に広げていきたいとおっしゃっていました。

また、大学と連携しながら新しい研究も進めたいとのことでしたよ!

株式会社塩(SIO)のウルトラファインバブル

次にやって来たのは、水槽がめっちゃ気になるこのブース、『株式会社塩(SIO)』。社名の由来は、目立たない存在でもどんな料理にも欠かせない塩のように、お客様にとって不可欠な存在になりたいという想いからだそうです。こちらも八王子で、横山町に本社を構えています。
株式会社塩 公式サイト

水槽にささっているコレ…何でしょうか?はい、皆さん「ウルトラファインバブル」って聞いたことありますよね、非常に細かい気泡を水中に発生させる技術のことで、シャワーヘッドとかCMでやってませんか!コレ、ウルトラファインバブルを生成する装置なんです!

左側がマイクロバブルで、右側がウルトラファインバブル。マイクロバブルは目に見えますが、ウルトラファインバブルは非常に小さいため、肉眼ではほとんど見えないほどなのだとか!細かすぎて伝わらないバブルってわけです!

同社のすごいところは、装置に水を通すだけで自動的にウルトラファインバブルを生成できる点!

水に溶け込んでいる空気を微細化し、ウルトラファインバブルを作り出すのだとか。この技術は主にBtoBで提供していて、洗浄力を高めたり、工作機械や半導体加工などの分野で活用されているのだそうです。

また、住宅の排水管につなぐことで、家中の水すべてがウルトラファインバブル水に変わるという『SIO HOME』といったサービスも展開中。

細かい刃で水の中に溶け込んでいる空気を微細に砕く

今回の『たま未来連携EXPO 2024』では、同社の技術を初めて知る方も多く、大学関係者や企業の方々から「こういう用途に使えるかも」と新しいアイデアをもらう機会が多くあったそうです。これまでは特定の業界向けの展示会に出ることが多かったそうですが、今回のように「大学関係の方々と接点を持てる展示会は珍しい」と喜んでいらっしゃいました!

八王子ジャーニー編集部

まさに産学連携の展示会ならではの出会い!こうした場での出会いを活かして、さらに新しい分野へ展開していけそうですね!

株式会社塩(SIO)という社名もインパクトあるので覚えておいてください!

工学院大学の強化ダンボールシェルター

気になっていた『強化ダンボールシェルター』を見てきました!出展しているのは『工学院大学』。中野町に八王子キャンパスがありますね。
進化を続けるダンボールシェルター 工学院大学公式サイト

軽くて頑丈、耐久性もあってリサイクル可能な素材で作られた強化ダンボールシェルター…!この秘密基地感、テンションが上ってしまいます!

もともとは2011年3月の東日本大震災の際、避難所の体育館などに多くの人が集まりプライバシーの確保が難しかったことからシェルターの必要性を感じたのがきっかけで、工学院大学建築学部の鈴木敏彦教授が開発に着手したのだとか。さらに震災当時、全国から物資として多くのダンボールが届けられたため、それを有効活用できるようにと製作図面をホームページで公開したエピソードも。少しでも避難生活の改善に寄与できればという想いから生まれた発明だったんですね!

机と椅子もカワイイです!このデザイン性も素晴らしいのがポイントですよね。

中に入ると、これがまた意外と広い!身長180cmが横になっても収まるサイズ感ですよ!これなら親子で使用したり、医療従事者が避難者を検査できるスペースにもできますし、十分にプライバシーが確保されますね。避難所ではもちろん、ビニールハウスの中に設置してもOKです。

驚くことに、組み立て前はこんなにコンパクト!シェルターの組み立ては30分以内でできるそうで、かなり短時間で設置が可能です。受注生産ということで製作個数によってコストは変動するそうですが、この軽さと強度と長期保管の利点から、マンションの管理組合、行政、企業なども備蓄したいと問い合わせが多くきているそうです。

大きい順に、シェルター、ベッド、スツール

八王子ジャーニー編集部

このシェルターをより多くの方に知っていただきたいという想いがあって出展されたとのこと!これまでの展示会では 防災関連の企業に向けたものが多かったようですが、今回はより幅広い層にアピールできる場だと喜んでいらっしゃいました!

パネルディスカッションで産官学民連携の裏話

最後にステージのご紹介。人工呼吸器やパルスオキシメーターのアラームを遠隔で通知するデバイス『アラーム検知之介』開発プロジェクトでの連携事例とその秘訣を語る特別パネルディスカッションが行われていました。
アラーム検知之助 公式サイト

同プロジェクトの始まりは、在宅医療に携わる人々の負担を軽減したいという現場の声でした。しかし、ハードウェア開発は関係企業にとって未知の領域であり、試行錯誤の連続だったそうです。

開発チームは、医療関係者、デザイナー、エンジニアなど多様な分野の専門家と連携し、定例会議を重ねながら課題を解決。特に、産官学民の協力体制が成功の鍵となり、各分野の知見を結集することで、実用化に向けた開発を進めました。

実際の医療現場の意見を取り入れながら試作を繰り返し、医療的ケアが必要な患者と介護者にとって使いやすい製品へと進化。プロジェクトメンバーは「連携の力がなければ実現できなかった」と振り返り、今後はより多くの人に知ってもらうことが重要であると語りました。

この取り組みは、まさに産官学民が一体となった成功事例で、医療現場の課題解決に向けた技術革新のモデルケースになりそうですね!
おもしろい話も聞けて、エネルギーをたくさんもらった1日となりました!


八王子ジャーニー編集部

『たま未来連携EXPO 2024』いかがでしたでしょうか?産官学民の協力が生む技術革新の可能性を実感!各ブースやパネルディスカッションでは、課題解決への熱意と連携の力が光り、未来へのヒントが満載でした。

多摩地域の発展を支えるこの展示会が、次回もさらに進化し、新たな出会いや連携を生み出すことを期待しています!

東京たま未来メッセ (東京都立多摩産業交流センター)

※情報は取材当時のものです。来店の際は公式情報をご確認ください。

住所
東京都八王子市明神町3-19-2
アクセス
八王子駅北口 徒歩5分
京王八王子 徒歩2分
電話
042-697-0802
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