「今日は雨が降るので、傘を持っていくようだな」この一文を聞いて、「特におかしくない」と感じた人はいませんか?
もしそう思ったなら、あなたは八王子出身、もしくは八王子周辺で育った可能性があります。実はこの言い回し、標準語だと思われがちですが、他の地域の人が聞くと少し違和感を覚える表現なのです。
「〇〇するようだ」
「○○するようだ」は、一般的には比喩、あるいは予想を表す意味です。例えば、「まるで夢のようだね」「どうやら明日は雨のようだ」。前述の例では、「(あの人は)傘を持っていくよう(みたい)だよ」という意味になります。
ところが、筆者が耳にしたのは「傘を持っていかなきゃいけないぞ」「傘を持って行くつもり」という意味のようなのです。つまり、「しなきゃいけない」「する必要がある」という意味です。
「今日は雨が降るので傘を持っていくようだな」…この表現、違和感なかったらあなたは八王子出身かも!?
最初は、そういう言い方をする人はどこの出身なのかな?と思っていたのですが、後日その人は、八王子生まれ・育ちの人だと分かりました。念のため、身近な八王子生まれ・育ちの人にその表現を使ってみると、「違和感はない」との返答。
これってもしかしたら方言?……と思い更に調べてみると、この表現は埼玉県を中心とした地域で使われてきたということが分かりました。それが八王子に定着している理由は不明ですが、本人は気付いていないというのが面白いですよね。
「八王子に行く」
方言ではありませんが、八王子駅周辺に行くことを「八王子に行く」という表現も、八王子特有の表現だと気付いていないのが面白い。また、「うざったい若い人(?)が使う『うざい』が、八王子(多摩地域)で使われていた『うざったい』が発祥」という話は有名で、今では国語辞典にも載っています。
『八王子方言考』(鈴木樹造著:かたくら書店・昭和58年発行)には、「ひぼっちい」や「けさのかかあ」など多くの例が掲載されています。すでに死語になっているようですが、分かる人がいたら根っからの八王子人ですね。
※「ひぼっちい」はまぶしい、「けさのかかあ」はコオロギのことです。
知らないうちに使ってる八王子ことば、実は奥が深い…!「ひぼっちい」って言われて分かる人、八王子認定ですね!
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八王子を中心とした超地域密着型(ハイパーローカル)の地域情報紙です。新聞配達の流通を使い週6日発行・お届けをしています。※現在は読売新聞の購読者に限定して、朝刊に折り込む形で発行しています(日刊:5,000部)。八王子(主にめじろ台1~4丁目、緑町、山田町、椚田町、狭間町、館町、小比企町、寺田町、大船町、西片倉2~3丁目、みなみ野、七国※一部分に配布されないところもあります)に配達されています。