低速電動バス『MAYU号』の実験始まる 脱炭素・高齢者が元気に暮らせる街に
次世代モビリティ「MAYU号」が、めじろ台の街を走りました。
まだ実験段階ですが、全国では実際に運行し、重要な住民の足になっているこのバスについて、実験の中心となっている、法政大学の島田昭仁先生にお話を伺いました。
低速電動バス『MAYU号』
取材日の2月5日(土)は、27日(日)の実験走行に向けて、自動運転のための電波状況などをチェックする測定走行の日。
先ずこのバスを開発したのは、群馬大学次世代モビリティ社会実装研究センター(天谷賢児先生)であるということ。
同大学では、20年前から国が推奨した次世代モビリティに着手。現在はその技術をベンチャー企業に譲り、その会社が群馬県をはじめ全国(東京では渋谷など)に販売や貸し出しをしています。
(この様な「産官学の連携」は現在では当たり前になっていますが、その必要性を初めて唱えたのが島田先生です)
自動運転については
「技術的には可能ですが、現在の法律では一般道路では認められていないので有人運転です。
とはいえ、この問題はいずれ解決するでしょう」と島田先生。(神奈川県藤沢市、茨城県境町のように特区内では自動運転をしている地域もあります。東京オリ・パラの選手村も無人でした)
脱炭素
次にお聞きしたのは、脱(低)炭素について。現在いろいろな脱炭素を目指した自動車がありますが、このバスはステーションで充電する「急速充電」ではなく、一般電源で可能な「普通充電」です。
そして、運行に要する費用の問題解決にも役立つであろう、と提案されているのが、「空き家でのソーラーパネルによる太陽光発電」です。
街のいくつかの場所で充電しながら走行できれば、効率的な運行に繋がりますし、売電により持ち主の収入も発生します。
低速の効果
「MAYU」号のもう一つの大きな特徴は、低速運転であることです。
国が提唱する、いわゆる「グリーンスローモビリティ」(時速20km未満で公道を走ることができる電動車を活用した小さな移動サービス)です。
交通事故の割合が極めて低いこと(死亡事故率1%以下)だけではなく、すでに運行が行われている地域(群馬県桐生市等)の実績やアンケートから期待以上の利点が報告されています。
「ワゴン車からスローモビリティになったら皆が手を振ってくれた」「窓がないので、気持ちがいい」「外出が増えた」「人と話す機会が増えた」…。
これまで導入されている地域は山中などが多いのですが、めじろ台は都市部で駅近という特徴もあり、今後のモデルになるかもしれません。
試乗会
2月27日、試乗会が行われました。参加者は、法政大学関係者、めじろ台まちづくり協議会の有志。
まず、島田先生から、めじろ台会館入口左に設置されたソーラー設備についての説明。
「この設備でMAYU号の充電ができるだけでなく、一般家庭にも普及することを期待して、簡単で安価な方法で作りました」。
このデモ設備にかかった費用は10万円以内、製作日数も一人で3日。見学自由(めじろ台会館入口左)です。
ソーラー設備を説明する島田先生
いよいよ試乗。窓のない、開放的で会話しやすい設計が特徴です。「遊園地の乗り物のよう」なイメージです。
乗り心地(加減速時のゆれ)や走行時の音、更に運転者の人件費など、越えなければならない課題はありますが、脱炭素で自動運転の移動手段が当たり前になるのは時間の問題でしょう。
島田先生とめじろ台まちづくり協議会が連携して進めているこの実験は、国土交通省の採択事業「所有者不明土地対策の先進的取組」として進められています。
今後も取材を続けていきます。(編集長・中塚)
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