二刀流のメニューの町中華！中町・八仙菜館(はっせんさいかん)

「今、凝っているのは八仙菜館(はっせんさいかん)。壁に書いてある中国語メニューがおいしいよ」とは、筆者のご近所に住む中国人グローバル企業社員のお言葉。さっそく取材に行ってきました。

中町の八仙菜館のオーナーは徐思童(じょ しどう)さん、中国東北部瀋陽生まれのまだ若きオーナーです。なんとコロナ禍直前に中町の店を買いました。「八王子に来てすぐのコロナで、日本人は店に来なくなりました。なので、八王子にいる中国人が好む料理を増やしていきました」。と徐思童さん。
年々増えている八王子在住の中国人。学生からサラリーマン、経営者まで「中国の味を求めて」どんどん来たと言います。そして、コロナが終わって日本人客が戻って来ても……「あの中国の人が食べてるものが欲しい」という要望が予想外に多かったそうです。そんな理由で中国語の「中国料理メニュー」は壁にそのまま、テーブルにはいわゆる「日本人向けのメニュー」も存在するという「二刀流の店」になりました。

右がオーナーの徐思童さん、左が義父で料理長の季利徳(き りとく)さん。二人とも瀋陽の同じ村の出身

中国人向けメニューの一部。日本の中国料理屋では珍しいものも。

中国東北部といえばロシアに近い極寒の地。独特な食文化を持ちます。この店でも白菜を漬け発酵させた「酢菜」を使ったスウェンツアイメニューが一番人気。酢菜とはドイツのザワークラウトに似たいわゆる漬け物なのですが、そのまま食べることはなく、鍋にしたり、肉と炒めたり、熱を加えると酸味はなくなり、とてもまろやかな味になります。肉と共に食べると食が進みいつの間にかたくさんの野菜を摂取することになるのも、ビタミンが不足しがちな東北部の人の知恵でしょう。

酢菜を使った鍋「酸菜燉排骨」たっぷり入った鍋で1280円。

もちろんここには東北部だけではなく、中国全土の家庭料理があります。写真付きなので「指さし」でオーダーしてみてください。
「私はやはり日本人向けがいいわ」というあなた、日本語のグランドメニューの他に一日中やっている日本人好みの「セットメニュー」も。ラーメンやチャーハンのセットが約80種！中国人向けと日本人向けの二刀流の「中国料理」が楽しめる面白い店、ぜひお試しを。