いじめや失恋を乗り越えて。希望溢れる曲を奏でる八王子発のミュージシャン『見晴らしドライブイン』を紹介!
過去の悲しいことや辛いことを乗り越えて、希望や元気を与えてくれるミュージシャンが八王子にいることをご存じだろうか。グループ『見晴らしドライブイン』は、聴く人の心を掴んで離さない曲を届ける、稀有な存在。素朴でやさしさ溢れる彼らに、その音楽性や目指すところを聞いた。
見晴らしドライブインとは
美貴ちゃん(vo、g、pf)、としくん(vo、g、pf、perc)の2人で、2019年に結成。10年間弾き語りをしていた美貴ちゃんと、自らのアイディアで音楽をすることを考えていたとしくんが、偶然再会したことから活動をスタート。
美貴ちゃんのパワフルであたたかな歌声と、その魅力を最大限に引き出すアレンジやプロデュースを行う、としくんのセンスが融合したサウンドが魅力。グループ名『見晴らしドライブイン』は、2人がドライブ中に立ち寄った峠で、モヤが晴れて美しい空、景色が広がった光景からヒントを得て名付けたそう。2人の絆と未来を感じさせる。
まずは、見晴らしドライブインの「ひとに寄り添う曲を歌い続ける」という想いが伝わる、特に印象的な2曲を歌詞とともに紹介しよう。
『alone』いじめの日々から、力強く前を向く。
(alone歌詞)
あたしは今この暗闇の中、佇んでる
周りの目を気にしてふさぎこんで街を歩く
ギターを背負い1人で歩き続ける
交差点の真ん中で街の流れ感じる
今、あたしは1人で涙流す『独りって怖いよ』
そんなことは誰も気づいてくれない
だから、歌にして誰かに訴えるの
あたしを必要としてくれている人はいるの?
独りぼっちの部屋、無音の時間が今流れてる
涙流してもその涙拭ってくれる人はいない
真夜中、家抜け出して路地裏でギターかき鳴らす
泣き顔のまま鏡見て笑う「ブサイクな顔ね」
もう1人のあたしがそう呟く
いつか心から笑えるそんな時が来るまで
もう涙枯れてしまった、だから泣けない
そんな時はどうすればいいの…?
だれか教えて
心も涙も枯れちゃった
どこにもぶつけられない
明日あたしの心も晴れるといいな
今日の空のように
今はギター片手に歌うことしかできない
今の気持ちをこの歌に託すよ
作曲した経緯・想い
――この曲はどういった時に書いたものですか?
美貴ちゃん:この曲は、学生時代にいじめに合ったことがあり、その時の感情のままにつくった曲です。ただ、思い出したくない、という気持ちもあって、ひとりで歌っていたころは、しばらくは封印していました。それでも、としくんと再会し、いろんな話や経験、あと年を重ねたこともあり、少しずつ歌えるようになりました。
としくん:物語の背景や楽曲のシリアスさ…色々な意味でデリケートな楽曲。雰囲気やディティールを崩さないように演奏しなければならないので、細心の注意が必要です。
『過ぎ去りし日』失恋した友人が、一歩前に進む原動力に。
(過ぎ去りし日 歌詞)
ふたりが出会って過ごした数え切れないほどの
記憶を辿れば少し 切なくなる
一緒にいれば楽しくて目と目が合えば笑いあって
手を繋ぎいつもの道を歩きながら変わらぬ日々を過ごしてた
会いたくて会えなくてとめどなく溢れる涙
目をつぶるとふと浮かぶのは君の優しい笑顔
いつかまたどこかで偶然見かけても
声はかけずそっと君の幸せ願う
過ぎ去った時間に思い馳せてももう戻って来ない
時が進んでく 新しい明日へ
一緒にいれば許せないゆずることも出来なかったけど
ちゃんと向き合って乗り越えて日々を過ごしてきた
「もうどうでもいい」そう 言いながらどこかで君を想う
目が覚めたら静かな部屋と置き去りにされた私
真っ白な紙切れに「ありがとう」と一言残して
そっと部屋のドアを閉めてあてもなく歩いていく
苦しくて泣きたくて現実見ないように
無理やり笑って投げやりになったけど
負けずに生きてくと決めた
君との思い出全部消して生まれ変わる
そう決めて前を向いてまた進み出すよ
いつかまたどこかで偶然見かけても
声はかけずにそっと君の幸せ願う
作曲した経緯・想い
――この曲は実際にモデルがいるのでしょうか?
美貴ちゃん:この曲は、失恋した友人の話をもとに書き上げた曲です。モデルになってくれた友人は、「しばらくは聴くことができない」と言っていました。でも、ある時、しっかりと曲を聴いてくれたんです。それは、この失恋が『成仏』できて、前に進めた証だと思いました。なんだか自分自身も救われた気がしましたね。
としくん:この曲は、ノンフィクションであり、どんな物語であるか、ありのまま歌詞に描かれているので、情景が鮮明に想像できます。なので、お客さんは涙を流して聴いてくれます。
美貴ちゃん:いじめや失恋、片思いって、とっても苦しいものです。悲しみや怒り、いろんな感情が生まれてきます。でも、そこからは逃げられないんですよね。向き合うしかないです。ですから、自分は実体験したことや、ノンフィクションにこだわって、これからも、素直でシンプルな曲や歌をつくっていきたいと思います。
としくん:僕としては、美貴ちゃんの歌声や音楽性の良さをきちんと伝えていきたいという想いがあります。彼女は非常にデリケートで、体験したことや人から話を聞いたことに影響を受けて表現活動をしています。感受性が高すぎて心配になることもありますが、大好きである歌を続けられるように、僕にできることは何か日々きちんと考えていきたいです。
コミュニティを育み、いっしょにライブをつくりあげたい
見晴らしドライブインのもうひとつの活動、それが音楽やお酒を通じた「コミュニティづくり」だ。としくんが酒場などで知り合ったミュージシャンは勿論、様々な趣味や考えを持った方々とつながり、一緒にライブをつくりあげていくことを目指している。
――最後に、これからの活動についてと、記事を見てくれた読者に一言ずついただけますか。
としくん:ぼくは、どちらかと言えばプロデューサー的な立場で表現活動を継続させていきたいと考えています。取材場所として使わせていただいている『Seven’s Room』を憩いの場としながら、音楽だけでなく、みんなで釣りに出かけたり、最近は野球でも交流を深めたりしています。また、八王子は意外にもダーツが盛んなので、『Darts Bar Glanz』という、お店のお客様で組まれたチームのキャプテンを務め、リーグ戦に出場したりお酒を楽しんだりもしています。それぞれのコミュニティで楽しむことがライブの在り方に繋がっていますので、ひょんなところでお会いした時は、ぜひ仲間になってください。とにかくみなさん、楽しい時間を共有しましょう!
美貴ちゃん:わたしは、としくんに支えてもらい、そしてこれからもたくさんの人に支えてもらいながら、やはり人に寄り添えるような曲を歌っていきたいですね。誰かの悩みとか話を聞いて心の拠り所みたいなところになれれば嬉しいです。やっぱり人がスキですし、ぜひみなさんにも、私たちの曲を聴いていただけたら嬉しいです!
直近のライブ予定
- 4月27日(土)
- いなしんサポート(としくん) @プリモホールゆとろぎ(羽村市生涯学習センター)
令和6年 能登半島地震 被災地支援 チャリティーコンサート - 4月28日(日)
- 見晴らしドライブイン @八王子パパビート 〜NO DISC vol.42〜
- 5月12日(日)
- 見晴らしドライブイン @飯能市民会館 YAKITOMI vol.8
まとめ
誰にでも、辛い、悲しい思い出はあるだろう。いまも、そこから抜け出せない人もいるはずだし、立ち直るには、時間も必要だ。そんなときに、見晴らしドライブインの曲を聴いてみてはどうだろう。心を震わせ、明日への向かう力になるには、華美な演出など必要ない。彼らのサウンドと歌詞には、本物の心がこもっている。だからこそ、聴いた後には、心の靄や霧が晴れ、きっと見晴らしがよくなっているはずだ。
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