童謡「夕焼け小焼け」の「山のお寺」ってどこ?その3『興慶寺(こうけいじ)』上恩方
【八王子見てある記】シリーズ<童謡「夕焼け小焼け」の「山のお寺」ってどこ?>その3
八王子の歌といえば「夕焼け小焼け」。歌詞にある「山のお寺の鐘が鳴る」のお寺とは?今回の見てある記は、その答えを探すための3回シリーズ最終回です。
興慶寺
童謡「夕焼け小焼け」に登場する「山のお寺」を探索するシリーズの最終地は、『興慶寺(こうけいじ)』。ウィキペディアでは、「『山のお寺の鐘』とは当寺の鐘を指しているという」とあります。断定はしていないとはいえ期待できそうです。
場所は、川原宿交差点から陣馬街道を西へ約4㎞。(高尾駅から8㎞)
自然豊かな田舎道の途中にもたくさんのお寺があります。目印の「狐塚」バス停に到着。坂を上ると「バラ咲く霊園」の看板と墓地らしからぬお洒落な休憩所。更にその先に長~い階段。(車の場合は右へ迂回)。登りきって、振り返ると眼下には緑豊かな景色が広がります。とても静かで、聞こえるのは鳥のさえずりだけ。モミジもあり、もうすぐ紅葉も楽しめるでしょう。
お寺は長い階段の上(車でも可)
松姫ゆかりのお寺
ここ興慶寺は、廣園寺(こうおんじ)(山田町)を創建した峻翁令山(しゅんのうれいざん)和尚が廣園寺の末寺として開いたと伝えられます。また、武田信玄の娘、松姫が甲斐の国から逃れて最初に身を寄せたのがこのお寺です。
鐘はさらに上
立派な山門、本堂を見学し、今回の目的の鐘楼(しょうろう)を探しますが見当たりません。駐車場から少し坂を下ったところに歌碑を見つけました。「夕焼け小焼け」ではなく「ふる里と母と」という詩です。最後に「雨紅書」と書かれています。
中村雨紅「ふる里と母と」歌碑
その先の階段の上に鐘楼がありました。
興慶寺の鐘は山の上にありました
鐘には、中村雨紅の詠んだ句「興慶寺と このみ寺の鐘の音を 今日も安らに聞くぞ嬉しき」が刻まれていました。
中村雨紅の句
自由に撞(つ)けるようになっていたので、鳴らしてみました。「ごーん」
この高い台なら遠くまで聞こえることでしょう。
鐘楼からの眺めは素晴らしい
中村雨紅の自宅(宮尾神社)まではここから2㎞。この鐘を聞いたことは間違いないと思いますが、歌詞のお寺がここであるとは断定する材料がありません。あえて決める必要もないのかもしれません。この歌は、市民みんなの誇りですし。ある人が言いました。「八王子に引っ越してきて、私の大好きな『夕焼け小焼け』の歌がこの街で生まれたと知って大変嬉しかった」と。
鐘楼手前のお地蔵さん
お出かけにはいい季節になりました。この機会にお寺巡りに出かけましょう。(中塚)
興慶寺へのアクセス
八王子市上恩方町1040
高尾駅北口より陣馬高原下行で「狐塚」バス停から徒歩10分
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